■■ 北海道教職員組合【北教組】へようこそ

ページトップへ戻る

 道教委は9月11日、道議会文教委員会に「これからの高校づくりに関する指針(素案)」を報告した。

 その内容は、昨年10月に公表した「『新たな高校教育に関する指針』検討報告書」にもとづき、「高校づくりの3つの視点」として、①多様なタイプの高校づくりなどに関わり「活力と魅力のある高校づくり」、②職業学科の在り方などに関わり「経済社会の発展に寄与する人材を育む高校づくり」、③地域キャンパス校の在り方などに関わり「地域とつながる高校づくり」を掲げた。

 また現行の「新たな高校教育に関する指針(2006)」(以下「指針」)からの主な変更点として、①「地域キャンパス校」を「地域連携特例校」と改称し、再編基準については現行の入学者20人未満から10人未満に緩和する、ただし、入学者が2年連続10人未満の場合は再編整備とする、②1次産業や医療 ・福祉分野を担う人材育成に力を入れるため、農業、水産、看護と福祉の学科についても「地域連携特例校」と同様の再編基準とする、③定時制課程においても入学者が2年連続10人未満の場合は、再編整備をすすめる、④農業科や水産科の道外からの推薦入学枠拡大について検討する、⑤基礎的 ・基本的な知識 ・技能の確実な定着を図るため「新たな特色ある高校」の導入について検討する、などとした。

 しかし、これまでの「指針」同様に「生徒の興味・関心、進路希望等の多様化、中学校卒業者数の減少」などを口実として、「1学年4~8学級を望ましい学校規模」とした「適正規模」を一方的に定め、財政論に依拠した機械的な学科再編・統廃合をすすめようとする基本的な姿勢は何ら変わっていない。また、①学校間格差 ・受験競争激化の要因となっている通学区を改めず、現行19学区を継続する、②「理数科、体育科及び外国語科に関する学科」など、スーパーエリート養成教育を一層強化する、③「高等学校生徒遠距離通学費等補助制度」の拡充は行わない、④教育委員会等による教育への不当な介入が懸念される「コミュニティ ・スクール」導入する、など「グローバル化や情報化の進展などの社会の急速な変化に対応する人材育成」を基本に据え、国家・財界が求める教育をすすめるもので極めて問題がある。これらは、子どもたちを早期に差別・選別し、平和で民主的な社会を担う主権者の育成に向け人格の完成をめざす「47教育基本法」の理念を蔑ろにするもので断じて容認できない。

 北教組は、現行「指針」「配置計画」により、財政論に依拠した機械的な間口削減・統廃合と差別・選別の教育がすすめられ、子どもたちの学ぶ権利が侵害されるとともに、「貧困と格差」に一層拍車がかかり北海道の地域を疲弊させてきたことなどから「指針」の撤回・再考を訴えてきた。また、地域キャンパス校の再編基準見直しやしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもたちが地元の高校へ通うことのできる「地域合同総合高校」の設置など、北海道の地域性を活かしたゆたかな後期中等教育の実現を求めてきた。

 「本素案」では、①「地域連携特例校」の再編基準を現行の20人未満から10人未満へと緩和する、②「地域連携特例校」間や「地域連携協力校」以外の高校との連携をすすめる、などが盛り込まれた。これは、北教組の要求や子ども・保護者や地域の願いを受け止めたものであり、私たちは、これらを足がかりに「地域合同総合高校」の実現へとつなげていかなければならい。

 道教委は、今後行われる北海道教育推進会議高等学校専門部会、パブリックコメントや道内19会場での「意見を聞く会」などを実施した上で、「これからの高校づくりに関する指針」を策定し、2021年度以降の配置計画から適用(実施可能な施策は2018年度から実施)するとしている。

 私たちは引き続き、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を結集し、道教委に対して根本的な問題が何ら改善されていない「素案」の撤回・再考を求めるとともに、すべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していく。
 2017年9月13日

                                    北海道教職員組合