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 道教委は3月28日、「これからの高校づくりに関する指針」(以下、「新指針」)を公表した。これは2016年12月から北海道教育推進会議高等学校専門部会において検討し、昨年9月20日の「素案」、本年3月19日の「案」を経て決定したものである。

 「新指針」は、「地域とつながる高校づくり」として、①多様なタイプの高校づくりなどに関して「活力と魅力のある高校づくり」、②職業学科の在り方などに関して「経済社会の発展に寄与する人材を育む高校づくり」、③地域キャンパス校の在り方などに関して「地域とつながる高校づくり」の3つの視点を掲げている。しかし、その内実は、現行「新たな高校教育に関する指針(2006)」と同様、中学校卒業者数の減少などを口実に、「1学年4~8学級を望ましい学校規模(適正規模)」とし、また、1学年3学級以下の学校を対象に詳細な取扱いを設定するなど、財政論に依拠した機械的な学科再編・統廃合をすすめようとするもので、子ども・保護者や地域の願いを受け止めたものとはなってない。

 現行「指針」からの主な変更点は、①「地域キャンパス校」を「地域連携特例校」と改称し、再編基準については現行の入学者20人未満から10人未満に緩和する(入学者が2年連続10人未満の場合は再編整備)、②農業、水産、看護と福祉の学科についても「地域連携特例校」と同様の再編基準とする、③定時制課程についても、5月1日現在の第1学年の在籍者が10人未満となり、その後も増が見込まれない場合は再編整備とする、④農業科、水産科の道外からの推薦入学枠拡大について検討する、⑤基礎的・基本的な知識・技能の定着を図る「新たな特色ある高校」の導入について検討する、などである。

 他方、①学校間格差・受験競争激化の要因となっている通学区は改めず、現行19学区を継続する、②スーパーエリート養成教育の一層強化となる「理数科、体育科及び外国語科に関する学科」などを導入する、③「高等学校生徒遠距離通学費等補助制度」の拡充は行わない、④教育活動・内容への不当な介入が懸念される「コミュニティ・スクール」を導入する、など政府・財界が求める「グローバル化や情報化の進展などの社会の急速な変化に対応する人材育成」をすすめる姿勢は何ら変わっておらず、きわめて問題がある。

 また、現行「指針」と同様に、高校存続に向けて地域・学校に対して「具体的取組とその効果」を求める道教委の姿勢は、後期中等教育の保障を自治体の努力の問題へとすり替え、自らの責務を放棄するものである。さらには、さまざまな事情を抱える子どもたちの貴重な学びの場である定時制高校についても再編整備の対象としたことは、教育の機会均等の確保の理念に反する行為であり、断じて容認できない。

 その一方で、北教組の要求や子ども・保護者や地域の願いを受け止め、「地域連携特例校」の再編基準を緩和した上で、「地域連携特例校」間や「地域連携協力校」以外の高校との連携をすすめるとした。私たちは、これを足がかりに地域に高校を存続させ、「地域合同総合高校」の実現へとつなげていかなければならい。

 北教組は引き続き、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を結集し、道教委に対して根本的な問題が何ら改善されていない「新指針」の撤回・再考を求めるとともに、どの地域に暮らしていても希望するすべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していく。

 2018年3月29日

                                    北海道教職員組合