■■ 北海道教職員組合【北教組】へようこそ

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 今、YouTube などで、「大迫半端ないって」という動画が話題になっているのをご存知でしょうか。ワールドカップで活躍中の大迫選手が高校の時、試合で負けた対戦相手の選手や監督が悔しがりながらも、「半端ないって」と、大迫選手のプレーを讃える姿は清々しく、評判になったものです。
 一方で、日大アメフト部の選手一人に責任を負わせる監督やコーチ、大学のあり方と比較し、批判する声も大きく取り上げられています。

 さて、安倍政権の運営はどうでしょうか。森友・加計学園疑惑やイラク日報・セクハラ問題など、国会や国民を愚弄する違法行為が繰り返されています。「公文書」の改ざんや隠ぺい、破棄、虚偽答弁など、官僚個人の責任に転嫁し、政権の責任は頬っ被りして、延命を図る党利党略の姿勢は、「半端なく」姑息で、断じて許されません。

 こうした中で、安倍首相は、「9条に自衛隊を明記する」憲法改悪に邁進しています。「自衛隊の明記で何も変わらない」としていますが、これは明らかに「集団的自衛権の全面行使」につなげ、海外での軍事行動を可能とする「国防軍化」をねらう詭弁です。改憲と「戦争する国」づくりに向けた動きは、朝鮮半島での平和に向けた対話の流れにも背を向けるものです。

 今変えるべきは、行政が私物され、憲法が定めた民主主義や基本的人権、そして平和や自由・平等など人類共通の価値を蔑ろにしてきた政治です。
 平和憲法を守り、民主主義を回復するため、安倍政治を終結させ、政治を国民の側に取り戻さなければなりません。

 今、国会では「働き方改革」の名を騙った「法案」が、衆議院で強行採決され、国会を延長する中で参議院でも強行されようとしています。過労死認定基準にあたる残業を認める上限規制をはじめ、一部専門職を労働時間規制から完全に除外し、残業代をゼロにする「高度プロフェッショナル制度」など、企業を優遇し、働く者の権利を奪う「政府案」は廃案しかありません。

 「高プロ」同様、私たち教職員の「勤務」も、労基法を除外し、時間外・休日勤務手当・割増賃金も支払わないとした「給特法」の規定のもとで、無定量・無制限の「タダ働き」を強いられてきました。私たちはこの1年間、「連合総研」の調査を契機に、全国的な運動を展開した結果、中教審での議論に漕ぎつけたことは大きな運動の成果です。何としても今次審議を、「給特法」の廃止・見直しと、これにもとづく勤務条件改善に向けた交渉・協議を実現する場とさせなければなりません。北教組は弁護団と協議し、日教組や政党への意見反映をすすめてきました。北海道の運動を起点に、抜本的な勤務条件・教育条件改善を勝ち取るため、引き続き広範な運動を展開しようではありませんか。

 一方で、私たちは当面、超勤解消をめざし、「勤務の割り振り変更」による対象業務を拡大させてきましたが、「学力向上」策の押しつけなど業務が増加する中で、必ずしも活用できない現場実態に置かれています。引き続き道教委交渉を強化し、現場の要求に沿う回復を措置させていかなければなりません。

 今、一人ひとりの子どもの要求にもとづき「人格の完成」をめざす教育内容よりも、国に都合の良いものを「学習指導要領」と「全国学力調査」によって定着させ、規範意識や愛国心など一方的な価値観を押しつける道徳教育が徹底されようとしています。
 こうした政府主導の「政策」は、子どもたちを追いつめ、「いじめ、不登校、ひきこもり」が過去最多となるなど、苦悩を一層深刻化させています。

 私たちはこれまで、子どもたちの悩みや叫びに寄り添い、子どもの権利を尊重し、管理主義や体罰を排するなど、「子どもの権利条約」の定着と実践を基盤に、「学校を変える運動」をすすめてきました。しかし、競争と管理の政策が強化される中で、必ずしも学校で実践され定着してきたとは言えません。

 改めて、「子どもの権利条約」が、子ども自身をその権利を行使する主体と認める「子ども観」に立つことを確認しあい、学校のあらゆる具体的な場面に、子どもの権利と参画を保障する実践の強化が必要です。学校を、子どもたちが夢や希望をもって学び、他者との関係性を身につけ、自らが主権者意識を自覚して、社会を変えていこうとする意思が生み出されるところに変えていこうではありませんか。

 北教組がめざす、教職員の生活と権利を守り、子どもの側に立つ教育を実現するためには、組合の存在と力が必要です。そのことを若い教職員の皆さんに訴え加入をすすめていくことが喫緊の課題です。組織拡大センターや青年委員会、昨年からスタートした「全道臨時教職員の会」のとりくみによって、加入に向けた成果が徐々に表れています。7月から始まるサマースクールや教研活動、日常実践を通して、若い教職員が自ら主体的に北教組の運動に自信と確信をもって参画し、組織強化・拡大を図っていく運動の展開が必要です。

 2018年度の運動課題の重点は、第1に、改憲発議を断じて許さず、憲法を守り、民主主義を取り戻す道民運動を強化すること、第2に、「給特法」改廃・定数改善など抜本的な勤務・教育条件改善をすすめること、第3に、改訂「学習指導要領」に対峙し人権や民主主義を根づかせる実践を強化すること、第4に、こうしたすべてのとりくみを若い教職員の加入拡大につなげることです。

 今年5月に逝去された絵本作家の「加古里子」さんは、18歳初選挙の2016年に「こどものとうひょう おとなのせんきょ」という絵本を復刊させました。たくさんの子どもが遊ぶ広場を舞台に、「『民主主義』は多数決ではなく、少数でも優れた考えや案を、狭い利害や自己中心的になりやすい多数派が学び、反省する、最も大切な『民主主義の真髄』を取り戻したいとの願いで書いた」とあとがきに記しています。

 今、安倍政権のもと、民主主義を履き違えた数の暴力が幾度も繰り返される中で、強いものがどこまでも強くなり、弱いものが守られるどころか虐げられている社会状況がつくり出されてしまいました。私たちは、こうした状況に対し、民主主義の理念が息づく社会をつくるため、子どもたちと学びあい、職場の仲間や保護者・住民など身近な人々と語り、連帯して闘わなければなりません。

2018年7月2日