2026年「人事院勧告」を学ぼう
人事院は8月7日、政府と国会に対して、国家公務員における本年の「職員の給与に関する勧告・報告」「公務員人事管理に関する報告」などを行いました。
再任用者月例給を大幅改善。一時金は0.05月の引き上げ
俸給表全体で平均3.3%の引き上げ
「職員の給与に関する勧告・報告」では、国家公務員給与が民間を平均15,056円(3.51%)下回ったことを踏まえ、月例給は初任給を大卒(一般職)・高卒とも9,500円引き上げ、中堅層以上の職員は前年を上回る改定を行い、全体で平均3.3%引き上げとしました。また、暫定再任用職員等について大幅な改定(係長級8.5%)を行いました。
一時金については、年間の平均支給月数を0.05月分引上げて4.70月分とし、期末・勤勉手当に均等に配分しました。また、転勤に伴う経済的な負担を軽減するため、単身赴任手当の加算額を分離・再編し、支給額の改善および距離区分の追加(60㎞以上)を行った上で、広く転居を伴う転勤を行った職員を対象とする「転居に関する手当」を新設するとしました。あわせて、広域異動手当の支給割合について、60 ㎞以上300 ㎞未満の場合は8%、300km以上の場合は16%に引き上げるとしています。


実効ある超勤・多忙化解決策示されず
「公務員人事管理に関する報告」などでは、①月100時間等の上限を超える超過勤務の最小化に向けた指導強化、②健康管理体制の整備・充実支援、③休暇の取得事由を問わない「無給休暇」(年間7日)の新設、④代休日の指定及び週休日の振替等を1日又は4時間単位に限らず行うことを可能とする見直しなどが報告・勧告されましたが、実効ある超勤・多忙化解消策は示されていません。
「職員の勤務時間及び休暇の改定に関する勧告」では、取得理由を問わない年間7日間の「無給休暇」の新設や週休日の振替等の見直しが示されました。これらは職員のニーズの対応という点で一定理解はできるものの、現在の人員不足や超過勤務の問題を踏まえれば、制度導入だけでなく、確実に取得できる環境整備が必要です。
再任用職員の月例給引き上げ大きな成果
今年の人事院勧告は月例給・一時金ともに5年連続の引き上げとなり、月例給については、すべての級・号俸で昨年を上回る3.0%以上の引き上げ(昨年2.7%)が行われ、特に中高年層を中心に10,000円以上引き上げたことは一定評価できます。しかし、引き続く物価高騰による家計への影響を踏まえれば不十分と言わざるを得ません。また、再任用職員等の月例給を行政職3級(係長級)で22,900円(8.5%)引き上げたことは、これまでのとりくみによる大きな成果です。一方、一時金の支給月数について人事院は従来の考え方を変えておらず、「60歳前後の給与カーブのあり方」とともに、早期の見直しを強く求めていく必要があります。
また、「転居に関する手当」が創設は、単身赴任者以外にも支給されるなど、転勤にかかる負担軽減の観点から一定評価できるものです。来年以降も転勤に関する手当の再編や統合が行われる見込みであることから、引き続き公務員連絡会・日教組に対し意見反映していく必要があります。
道人事委勧告に向けて
私たちは今後、道人事委員会に対して、教職員の厳しい生活実態を踏まえた賃金引き上げ「勧告」を行うよう強く要求することが重要です。また、教職員の欠員解消、超勤・多忙化解消に向け、道教委に対して実効ある方策を示すよう、具体的な勧告・報告を行うことなどを求めることが重要です。
<関連資料>
公務員連絡会の声明
1.人事院は、本日、①月例給について、3.51%(15,056円)の官民較差に基づく引上げと、一時金の支給月数の0.05月分引上げ等の給与に関する勧告・報告、②公務員人事管理に関する報告、③国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申出等を行った。
2.公務員連絡会は、6月17日に人事院総裁に要求書を提出して以降、全国の組合員参加による団体署名及び職場決議の実施とその提出行動、全国からWebを含め500人を超える参加者による7.22中央集会を背景に、幹事クラス、書記長クラスによる交渉を複数回実施してきた。
本年の人勧期における重要課題は、①真に生活改善につながるための全職員に対する月例給及び一時金の引上げ、②若年層~中堅層~高齢層のバランスの取れた賃金体系の確立、③連絡会との十分な交渉・協議を踏まえた「新たな人事制度」に関する「骨格」の提示、④長時間労働の是正、ハラスメントの撲滅、各種勤務環境の整備など働きやすい職場づくり等であった。
3.本年の給与に関する勧告は、職種別民間給与実態調査の段階から、全体の比較対象企業規模を「100人以上」かつ「事業所規模50人以上」とした上で、①月例給について、大卒初任給(総合職・一般職)、高卒初任給ともに、9,500円引き上げる一方で、「各組織の業務遂行において重要な役割を担っている中堅層以上の職員についても配慮した改定を行う」として、昨年を上回る引上げ、②一時金については、0.05月分を引き上げることとし(年間計4.70月)、今年度についても、12月期の期末手当及び勤勉手当に均等に配分し、来年度以降については、6月期及び12月期が均等になるよう配分する、等の内容となっている。また、再任用職員についても、いずれの役職段階においても、公務が民間を下回る状況にあることから、「近年の考え方に基づく改定率を上回る改定を行う」として、行(一)表で平均8.5%の改定を求める内容となった。
4.本年の勧告について、
①月例給に関して、公務員連絡会は、実質賃金が4年連続マイナスになっている全体状況のもと、全職員について、物価の上昇率を上回る賃金引上げを強く求めてきた。結果として、3.3%という行(一)表の平均改定率は、最低限の水準を確保できたものとして受け止める必要がある。特に、中堅・高齢層が多く在職する級・号俸において昨年を上回る水準での引上げとなったこと、再任用職員の引上げについて昨年を大きく上回る改定となったことは、連絡会の強い要求に人事院が応えたものと評価する。
②一時金に関しては、再任用職員も含め5年連続での支給月数引き上げとなり、本年も勤勉手当と期末手当に均等に配分されたことは、民間の考課査定割合との比較において当然のこととはいえ、この間、適正な配分を求めてきた立場として一定の評価ができる。
③手当等に関しては、ア)広域的な異動に対する給与上のインセンティブを更に向上させるため、広域異動手当の支給割合の引上げを本年4月に遡及する形で実施、イ)現行の単身赴任手当の加算額を分離・再編し、支給額の改善及び距離区分の追加を行った上で、転居を伴う転勤を行った職員を広く対象とする手当の創設、ウ)全ての職員を対象に、公務の運営に支障がない場合において、休暇の取得事由を問わない「無給休暇」(年7日間)の新設(勤務時間法の改正)、等が勧告された。これらは、未確定な部分も多くあるが、概ね評価できるものである。
④本府省幹部職員等を対象とする人事制度見直しについて、ア)現行の指定職俸給表を参考とした俸給表を新設すること、イ)人材獲得競争の観点から参照すべき民間の規模や対応する役職段階等を設定し、年間給与水準を決定すること、ウ)必要な判断をより適時適切に行うことを可能とするために勤務時間にとらわれない働き方ができるスキームとすること、等が方向性として示された。これらについては、本年は「骨格」の段階であり、未確定な部分が多いが、疑問点や懸念される部分もあるため、来年に向け、さらに人事院との協議を続けることとする。一方、今回対象となるポスト以外についても、2031年の定年の段階的引上げの完成を視野に入れ、必要な制度・運用の見直しを進めることが示された。この課題が、定年を延長した職員のみならず、再任用職員や、若年層・中堅層を含めた職員全体に影響を及ぼすことが想定されることから、「中高齢層職員の意欲の維持・向上と人材の確保」という観点で、人事院との協議を強化していくこととする。
5.以上のように、本年の勧告・報告は、公務員連絡会の要求に一定応えたものとは言えるが、前年同月比+3%に近い物価上昇率が続く中においては、引き続き「真に生活改善につながる賃上げ」を求めて行く必要がある。また、「65歳定年」が見えてきた中で、「若年層~中堅層~高齢層のバランスの取れた賃金体系の確立」の重要性も変わることがない。 その上で、まずは、政府に対して、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを求めるとともに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の賃金確定闘争に向けて、全力を尽くすものである。
2026年8月7日
公務員労働組合連絡会



